2018年 5月号


本当の安らぎをあなたに

     

子どもの頃、周りが皆持っているから、という理由でおもちゃや文具をおねだりした

経験はありませんか。買ってもらえると自慢し、買ってもらえないと、

なぜか自分だけ不幸になったような気がしたものです。


私たちは大人になっても、車や家、時計、ブランド品など、

人様が持っている物を持てば満足できると考えがちです。

また、やりたいことを思う存分やれば、心が満たされると考える人もいます。

貯金や保険に安心を求める人もいれば、

福祉活動やボランティアを行うことによって、心に安らぎが来ると考える人もいます。



はたして、これらの事で私たちの心に本当の安らぎは訪れるのでしょうか?



二十世紀初頭、ニュー・イングランドのある施設に

「リトル・アーニー」と呼ばれていた少女がいました。

何にも反応を示さない彼女は誰からも見放され、

やがて地下室に追いやられてしまいました。毎日掃除婦が来るだけです。


しかしその掃除婦は、何か月も根気強くアーニーのために祈り、

彼女に話しかけ続けたのです。


二年後、アーニーは普通の生活が送れるまでに回復していました。

実は、彼女は3歳の時に病気で失明し、母と弟を相次いで亡くし、

酒に溺れた父によって施設に入れられてしまったのです。

心を閉ざしていたのも無理はありません。

掃除婦の愛と祈りを受け、アーニーの心には、

自分と同じような苦しみ中にいる人々の役に立ちたい

という思いが芽生えていました。



幾年もたったある日、その施設はひとつの依頼を受けました。

見えず、聞こえず、口もきけず、周囲から見放された子どもを

世話してくれる人を紹介して欲しいというのです。

そこで選ばれたのが、どん底から奇跡的に回復した、リトル・アーニーでした。

その女性こそが、ヘレン・ケラーを救ったあのアン・サリバン女史だったのです。


では、サリバン先生を救ったのは誰だったのでしょう。あの親切な掃除婦でしょうか。


いいえ。


その答えは、来る日も来る日も掃除婦がアーニーに読み聞かせてくれた

聖書の一節にあります。


すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。

わたしがあなたがたを休ませてあげます。

(イエス・キリスト)

心の重荷ごと彼女を受け入れて下さるというイエス・キリストの真実な愛に触れた時、

アーニーは本当の自由と安らぎを得たのです。


「人の心には神の形をした空洞がある」。


かの有名な数学者パスカルは、このように言いました。

仕事を通して得られる充実感や、お金を通して得られる満足感、

楽しい趣味などでは、残念ながら、本当の安らぎを得ることはできません。

心の底の、家族や親しい人にさえ決して見せない部分には、

なぜか満たされない、言いようのない虚しさが漂っているのではないでしょうか。


この空洞は、本当の神であるイエス・キリスト以外のものでは、

決して埋めることができない隙間なのです。


傷ついたアーニーの心に本当の安らぎをもたらしたイエス・キリストの言葉に、

あなたも耳を傾けてみてはいかがですか。