塩のように生きる
現代社会は、選択の社会です。ひと昔前と違い、私たちは住む地域も、仕事も、結婚相手も自由に選ぶことのできる時代に生きています。けれども、自分の意志でこの世界に生まれてきた人はひとりもいません。あなたは、産もうという母親の意志によりこの世に産み落とされました。そこには、あなたが何かを選択する余地はなかったのです。 さて、生まれたということは生きていかなければならないということです。毎日一生懸命に生きている人もいますが、周りに合わせて、ただ「なんとなく」生きている人もいるでしょう。なんとなく近くの学校に行き、なんとなく近くの人と結婚し、子どもが出来ると、なんとなく周りの基準に合わせて育てる。そして次第に老いていき、病気になり、「なんとなく」過ごしてきた人生があっけなく終わっていく。 長いように見えて短いこの人生を、私たちはどのように生きていけばいいのでしょうか?聖書の中には、私たちが一度きりの人生をより良く生きていくためのヒントがあります。 「あなたがたは、地の塩です。もし塩が塩気をなくしたら、何によって塩気をつけるのでしょう。マタイの福音書5章13節」 これはイエス・キリストの言葉ですが、塩のように生きるべきだとは、いったいどういう意味でしょうか。 <塩の効用> @料理に必要不可欠な塩。「塩梅(あんばい)」という言葉があるほどに、塩加減ひとつで料理全体の味が決まってしまうのです。そんなふうに、周りから必要とされる人生を送れる人は、なんと幸せな人でしょうか。 Aお歳暮に頂く荒巻き鮭は、秋に川を遡上してきたものですが、塩をまぶしてあるため日持ちがきき、長期間腐らないのでお弁当に重宝します。そんなふうに、目立たなくても周りに影響を与える人生を送れるようになりたいものです。 Bご飯を炊く時やあんこを作る時などに「かくし塩」を入れると、うま味や甘みが引き立つことはよく知られています。塩を入れるのと入れないのとでは、味に大きな違いが出ます。ほんの少しの塩が大きな役割を果たすのです。他人の良さを引き出し、引き立てる人の側には、自然と人が集まってきます。 C私たちの血液は三十秒で体を一周して、必要な酸素と栄養を全身に送っています。この血液の中には、40グラムの塩が含まれていることをご存知でしょうか。塩は体温を調整し、筋肉を動かすために必要なものなのです。いのちの元は血液にある、と言っても過言ではないでしょう。まさに「血潮(ちしお)」という言葉の通りです。私たちもそんなふうに、誰かの原動力となれるといいですね。 これらの効用を見て分かる通り、塩は他のものでは代用が効きません。イエス・キリストはまさにこの「塩」のような人物でした。その言葉にも行ないにも塩気がきいており、常に人を惹きつける唯一無二の存在。キリストは地の塩として、今なお世界中に影響を与え続けているのです。 あなたも「なんとなく」生きることはもう卒業して、キリストに倣い、塩気のある人生を送ることを選択しませんか。聖書の中には、私たちが一度きりの人生を塩気のきいた、より良い人生にするためのヒントがあります。 |